■ 時空を超えて
「楽しかったねー」
「みんなまったく変わっていなくて、あのときのままね。」
「うん!とっても楽しかった。でも、なんか、次の日の朝、妙に空しいのよね。」
「そうそう、なんか変な気分。また会いたいんだけど、もう行きたくないような」
——-これは数十年ぶりの小学校のクラス会後のセリフ。
数十年ぶりのクラス会や同期会などに出席した経験はありますでしょうか。
会が終わった後に楽しさと同じくらいの虚無感を感じたことはありませんか?
この感情は一体何なのでしょうか。
吉田拓郎氏の歌で ♪祭りの後の寂しさがいやでもやって来るのなら~♪といった歌い出だしの曲がありますが、このような楽しく騒いだ後にやってくる寂しさとは違います。
何かやり遂げた達成感の後の虚脱感とも違います。
あっという間に歳をとってしまった切なさとも少し違うような・・・。
どうやらこれはありえないタイムトラベルから来る大人にしかわからない感情のようです。
月並みですが、旧友と打ち解けた瞬間から時間が逆戻りし、「あの頃」に帰ります。
風体こそ変わっているのですが目の前にいるのは仲のよかったミッちゃんです。
包んでいる空気は2年3組なのです。
脳が視覚を超えて記憶のイメージで満たされ一種の催眠状態になります。
人の神経系は現実の体験とイマジネーションの世界を区別できないようです。
損得勘定のなかった子供の頃の友人は大人の脳内を一瞬でピュアにします。
憧れだったあのマドンナも会った瞬間は「あれまー!」と思ったりするのですが、心の中では視覚を越えてやっぱりあのかわいかったマドンナを描きドキドキしています。
この空間だけはタイムマシンに乗ってきた自分たちにしかわからない世界が広がっていきます。
そのため翌日になると「2度と戻れるはずがない」という空しい感情が沸いてきます。
会うだけで理屈抜きに楽しい、ただいるだけでもワクワクできるのは子供時代の特権です。
この特権を大人になっても持ち続けたいものですね。
老化を遅らせ、若さを保つのはワクワクすることを毎日のように継続することです。
10年くらい前に戻るタイムマシンにはすぐ乗り込めるはずです。